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*@パーティーⅡ エナジーver 説明書 wiki このページは@パーティーⅡ エナジーver の説明書として作られたWiki形式情報サイトです wikiは誰でも編集が可能です。みんなで編集して、より良い説明書にしていきましょう でも荒らしは勘弁な! @パーティーⅡ エナジーverについて この@パーティーⅡは東方中心+改造が多い為、本家での常識がほとんど通用しません プレイ規約※重要 多重登録は禁止です。(ただし兄弟等の場合はエナジーさんに相談し、了承を得れば許可が貰えるようです) 紹介用リンクを使った不正行為も禁止です(例 アイテム(特にレアアイテムの射命丸コイン)だけもらって他キャラへ輸送してからすぐキャラ削除など) エナジー: 友達に登録してもらってコインを貰うのはOKですが、その友達が削除→再登録で無限にコインを増やすのは規則違反です (3/21 23 50) とのこと ※2012/5/11 紹介用リンクは不正による混乱を懸念され、廃止となりました。 本格的に始める前に 初心者プレイチャート よくある質問 誰かと一緒に冒険する上で覚えておきたいこと 寄生育成について に目を通しておくといいでしょう。 他の人に出会ったら、まずは挨拶をしてみましょう。挨拶するたび友達が増えるかはわかりませんが、人間関係は重要です 始めたばかりの人は、冒険に出るにいる人たちに「はじめまして」と自分から言ってみると良いかも知れません。 とは言え始めたばかりの人は積極的には動き辛いものですから、ゲームに慣れたプレイヤーから声をかける方が良いかも知れませんね。 クレクレ行為(アイテムやお金をくださいとねだること)は禁止です!あまりに酷い場合はキャラ削除の対象となる可能性があります 詐欺行為、荒らし行為は見つけ次第、即刻キャラ削除対象となります 寄生や育成は禁止ではありませんが、一度 寄生育成について を読了された上でお願いします。 ※登録したばかりの人は2、3回ぐらいは一人で冒険に行ってから頼むこと 自分で作れないステージには入らないでください。詳しくは寄生育成についてを読んでください。 敬語は必須ではありません。ですので、フレンドリーに声をかけてみるのもいいでしょう。 ※「w」、「顔文字」、「 」(空白でのログ流し)等の多用はいやがられてしまう可能性もあります。 常識の範囲内にとどめておきましょう。 現在、品物掲示板はこの説明書で言う取引掲示板として利用されているため、うかつなログ流し、@ギアスに何回も話しかける、などすると取引依頼を出してる人に迷惑がかかります。 バグの利用は厳禁です ※バグを発見した場合、どんなバグか どこで起きたか などできるだけ詳しい情報をエナジーさんへ報告して下さい @すくしょでスクリーンショットが取れる状況なら修正も容易になるかもしれません 左メニューの掲示板、又は下のリンクから報告して下さい 掲示板URL[http //energyseed.kuronowish.com/wforum/wforum.cgi] 規約原文 始めてすぐに宣伝のURL貼り連打をしたりすると、ここのプレイヤーだけでなくURL先にも風評被害などの迷惑がかかります。同様の理由で、この説明書ページに宣伝等のURLコメントを書き込まないようにしてください。 なお、ここに載ってないことであっても、多くのプレイヤーに迷惑がかかるような行為は荒らしとみなされます。また、「載ってない=やっていい。」というわけではありません。ネチケットを守って楽しいプレイを心がければより一層楽しめます。 前作とのおもな変更点 職業が全て東方職 新パラメータ 魔力(魔法攻撃 精神(魔法防御 通常攻撃が@こうげき(攻撃依存 と@だんまく(魔力依存 転職後のステータスが特殊 ちゃんとした計算式もありますが、書くとますますややこしいです とりあえず転職回数が多く、前職業の成長率が良いほど初期ステも高いです 転職条件が特殊 例えばチルノになる場合は 前か今のジョブがルーミア+チルノ人形もしくは紅魔郷秘伝書物 でなれる マスターしている職業は人形を使うだけで直接転職可能 例えばめーりんになるには現職業、旧職業がチルノである必要があるが めーりんをマスターしていた場合は、職業問わず人形だけで転職可能 詳しく知りたい方はよくある質問の転職にて 道具が10個までもてる 薬草10個や魔法の聖水10個など。薬草5個+魔法の聖水5個とかは無理 あと、各種の能力アップの種や錬金レシピはホームで使って効果が適応されます 持ってるだけじゃ意味がない また、幸せの種の使い溜めや転職数による能力上限を超えた数値にしたいために各種基礎能力アップの種を使っても無駄になるので使いすぎ注意。 自分の低いパラメータ補うときに使うのが賢い使い方。どの道転職するとスキルの種によるSP追加以外はなかったことになるので・・・ 武器成長システム 武器にスキルがつけられており、使いまくると武器の性能が上がる まとめ売りシステム 要望無いけど需要高そうなシステムの典型。そのまままとめ売りができる これからの改造予定 とりあえず未完成の職やステージを完成させたいです、はい だけどそれに飽きてくると新システム解発に移行する可能性あり なんていうか難しい作業ほどやる気が沸いてくるタイプなんで・・・ @パーティーⅡエナジーverSP
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オーストラリアが発見されるまで、 旧世界の人たちは白鳥と言えば すべて(、、、)白いものだと信じて疑わなかった。 経験的にも証拠は完璧にそろっているように思えたから、 みんな覆しようのないぐらい確信していた。…… (略) ……黒い白鳥(ブラック・スワン)と言ったら、それはほとんどの場合、次の三つの特徴を備えた事象を指す。 第一に異常(、、)であること。 つまり、過去に照らせば、そんなことが起こるかもしれないとはっきり示すものは何もなく、 普通に考えられる範囲の外側にあること。 第二に、とても大きな衝撃があること。 そして第三に、異常であるにもかかわらず、私達人間は、生まれついての性質で、 それが起こってから(、、、、、、、、、)適当な説明をでっち上げて道筋をつけたり、 予測が可能だったことにしてしまったりすること。 (ナシーム・ニコラス・タレブ『ブラック・スワン 不確実性とリスクの本質』上巻) ――――――――――――――――――――――――――― ソフト帽とスーツを着た黒塗りの怪人、 ブラックスワンは五十センチ四方の黒い正六面体を台車に乗せて運んでいた。 その格好のまま、謎の主催者H・リー(正体はハリー)と牛尾栞がいる部屋へ入室する。 ブラックスワンの後ろからは、彼のオペレーター兼マネージャーのヴィタも付いてきていた。 「はじめまして、このたびはワガママを聞いていただきありがとうございます」 ブラックスワンは『大会』の運営二人へ一礼する。 「いいっていいって! 俺たちに会ってから戦いたい? それっくらいお安い御用だ!」 「会ってからというか、挨拶ですね。社会人の礼儀というものです。私は裏社会人ですが」 軽くジョークを飛ばすブラックスワンの後ろで、 ヴィタは口元の両端を限界まで下げた表情をしていた。 H・リーは快活に、一風変わった黒い選手へ告げた。 「じゃ、裏社会人! 良い踏み台っぷり、期待してるぜ!」 「ボス、選手を煽るのはやめてください。すいません、ブラックスワンさん」 秘書の栞が申し訳なさそうな態度で謝る。 しかし栞は眼鏡をかけた不機嫌そうな表情の女性なので、謝罪ですら妙に圧迫感があった。 対して、ブラックスワンは落ち着いた声音で応える。 「いえいえ、気になさらず。主催者様、お任せください。 必ずや素晴らしい試合を楽しませてみせましょう」 「へへ、やっべ、すげぇ楽しみ。ま、MY STARSが勝つんだろうけどな!」 「だからボス、はぁ……」 ブラックスワンはH・リーの言葉を聞いてるのか聞いてないのか、腕時計を見た。 「おっと、そろそろ時間ですね。では行ってきます。ヴィタはここで待っていてください」 「……わかった」 ブラックスワンは部屋に入ってきた時と同じように、台車を押しながら退室しようとして。 ふと足を止めてドアのところで振り向いた。 「ところでリー様、なぜ私の対戦相手は二人いるのですか?」 H・リーは満面の笑みを浮かべた。 「面白いだろ!!」 ブラックスワンは影のごとくのっぺらぼうな顔を少しだけ傾けて言った。 「ええ、とても」 そしてスーツ姿の影法師は『大会』の試合へと向かった。 H・リーはワクワクした様子で自室の中継画面へ注目する。 早く始まらないかなと言わんばかりの浮かれっぷりだ。 「はやくはじまんねぇかなー!」 実際に口にも出すぐらいだった。 牛尾栞はヴィタに近づいて話しかける。 一応客人だ。もてなしが必要だろう。 「ブラックスワンさん、大人ですねぇ」 「……?」 ヴィタは不思議そうに栞を見上げる。 「ボスの失礼極まりない態度も軽く受け流しますし。 今『大会』で一番落ち着きのある選手ではないでしょうか?」 「……栞さん、あなたはブラックスワンを勘違いしている。それはあいつの一側面でしかない」 「え?」 ヴィタは笑みを浮かべた。 苦み走った、苦笑だった。 「あいつはおそらく――この『大会』で一番のトンチキ(・・・・)だぞ」 [回想開始] 私立ハイスクール高等学校学園大付属高校の食堂にて。 二人の少年が学食を食べていると、前の席に一人の男が座った。 「こんにちは」 「お、だr……ウォオオオオ!? 黒ッ!? 誰ッ!? 何!?」 「なんだヤスヒコ、どっ、ウギャア! スレンダーマン!?」 「誰がスレンダーマンですか。私はただの通りすがりの人ですよ」 「嘘吐け! 学校の食堂だぞココ!」 「卓ちゃん! まずどっから入ったか聞こう!」 「聞いてどうすんだよ!?」 「聞かれても教えませんよ。まぁまぁいいじゃないですか、そんなことは。どうでも。 ところで聞きたいことがあるのですが」 「すごい、この人自分は答えるつもりないのに俺たちには聞き出すつもりだ……!」 「高島バトル大好きマシーンさんと那須井優子さんについて教えていただけませんか?」 「いやっ、そのっ、流石に、残念な人間でもやっちゃいけないことがあるっていうか、なぁ? 見ず知らずの奴に教えるのは……」 「アレでも同級生のじょ……じょ、し? だしな! うん、男なら黙っておこう」 「これでもですか?」 黒塗りの男は一枚の紙幣を取り出した。 「うっ、だめだだめだ!」 「このあいだの補習終わりのテンションでゲーセン祭りして割と金欠……」 「悪に屈するなヤスヒコ!」 「やれやれ……では、これではどうでしょうか?」 漆黒の男が持つ一枚の紙幣が五枚に増えて広がる。 重ねて持つことにより一枚に見せかけていたらしい。 「「なんでも聞いてください!!」」 ……こうしてブラックスワンは、 五千円で自らの対戦相手『バトル大好きマシーン&ダブルスの優子』の情報を手に入れた。 「なるほど、面白い方々ですね。……いい計画を思いつきました」 [回想終了] きらびやかなパーティ会場。 豪華絢爛なカーテンやシャンデリアがフロアに飾られ、世界各国の料理が並んでいる。 パーティ会場には様々な大物が集まっていた。彼ら、彼女らは立食式のパーティを楽しんでいる。 「人がいっぱいいます! あ、あの人G20? のニュースで見たことが! これ全部対戦相手なんでしょうか?」 「ダブルスの『大会』って言ったでしょーが。忘れたの?」 「あ、そうでした、てへへ! じゃあいっぱいいる人たちは何なんでしょう?」 「たぶんアレね、備品よ」 「備品……!!」 そんなやり取りをするのは二人の女子高生、高島バトル大好きマシーンとダブルスの優子だ。 彼女たちの前をどう見ても日本の首相と外務大臣にしか見えないが、 もしかしたら違うかもしれない人たちが通り過ぎる。 「つまりこの中のどこかに対戦相手がいるわけですね! ダブルスの! あれ? でも相手の名前って一つしかなかったような?」 「今更? そりゃあたしも変って思ったけど……シークレットダブルスじゃない? 伏せ札とか、なんかそのへんよ!」 「シークレットなんてありなんですか!? でもありじゃないとおかしいですよね。 単独で出場とか全身崩壊の後、周囲を巻き込んで爆死して当然ですよね!」 「そう! しかも伏せ札とか使う以上、相手はかなりの卑怯者……油断せずに行くわよ! 敵はあたしらと同じ二人、どんな作戦でどんな不意打ちをしてくるかわかったもんじゃないわ!」 バトル大好きマシーンとダブルスの優子は注意深く周りを観察する。 なんだかものすごく米国の大統領に似ているたくさんのSPに守られた人や、 国を背負っているような貫禄しかない方たちが手にグラスを持ちながら談笑している。 油断なく周囲を見回す彼女たちへ、トレイを持ったウェイターらしき人が近づく。 トレイには水が乗っており、ウェイターは赤い帽子を被っていた。 「水はいかがでしょうか?」 「いらな「あ、ほしいです」好きマ、あんたねぇ……」 ウェイターは笑顔で水をバトル大好きマシーンに差し出す。 バトル大好きマシーンはそのグラスを持って飲もうとした。 ……が、ウェイターはニコニコと笑顔を浮かべたまま言った。 「お水に注目していただけますか?」 「え?」 高島バトル大好きマシーンは言われるがままにグラスへ視線を向ける。ただの水だ。 ……彼女の全身全霊は本人が望んでいるかはともかくとして、バトルに特化している。 その彼女の戦闘勘が言っていた。 手に持っている水は安全だし、目の前のウェイターも自分たちを害するつもりなどない。 そう、これはただの水だ。風が吹く湖面のようにさざ波だっている。 さざ波立つ。さざ波。連続的にさざ波がコップの水に発生している。 いや、違う。 揺れている(・・・・・)。 地面が揺れているから、その衝撃が高島バトル大好きマシーンから手に持つ水にまで伝わっている。 ほんのちょっとした、しかし断続的な揺れだった。各国の著名人たちもざわついている。 ウェイターも戸惑った表情をしていたが、気を取り直したように口を開いた。 「ブラックスワン様からの伝言です」 「「―――!!」」 それは一人だけ確認できた対戦相手の名前だった。ウェイターはのほほんと告げる。 「“ミスバトルレディ―――あなたは怪獣と戦ったことはありますか?”」 「「怪獣?」」 「これってどういう意味なんでし―――」 ウェイターが不思議そうに、質問しようとして。 パーティー会場の天井は轟音を立てて崩落した。 [回想開始] 多くの怪獣映画を撮影し続けた往年の名プロダクションの応接室にて。 ブラックスワンと特撮監督は、机を挟んで座っていた。 ブラックスワンは無言でアタッシュケースを机の上に置き、開く。 ケースの中にはびっしりとドル紙幣が詰まっていた。 『大会』前に取り掛かっていた“仕事”の報酬すべて。 「五百万ドルあります。これで―――怪獣を作っていただきたい」 特撮監督は難しい顔で言った。 「いかほどですか」 「姿や動きは私が行いますので、それ以外をすべて、お願いしたい」 ブラックスワンは右手を差し出す。 手の上で黒い白鳥が羽ばたいたかと思えば、黒い蝶が飛び回り、漆黒の象が鼻を持ち上げた。 殺傷能力はないが、半径五十メートル以内なら自由自在に黒く染められる魔人能力。 『黒染めの白鳥』だ。 特撮監督は真面目な顔を保っている。 「どれほどですか」 「―――五十メートル。可能ですか?」 特撮監督は瞼を数秒閉じて、かっ、と見開いた。 「可能です、五百万ドルあれば」 「流石は名プロダクション」 「最初は持ち運びできる程度に小型化したいのですが、可能ですか?」 「可能です、五百万ドルあれば」 「流石は日本を代表するスタジオ……!」 「ビームや圧倒的な破壊力は?」 「―――可能です!! 五百万ドルあれば!」 「流石は特撮の老舗! その言葉が聞きたかった!」 [回想終了] グォオオオオオオオオオォ―― 「ぐっ……なに? なにごと?」 「さっぱりわからないです!」 ダブルスの優子は地面にひっくり返ったまま言った。 上から降ってきた大量の瓦礫は優子に覆いかぶさったバトル大好きマシーンが防いだ。 バトル大好きマシーンはたかだか超重量の瓦礫が降ってきたぐらいで、 ダメージを受けるような柔な女子高生ではない。 なお彼女たちに話しかけていたウェイターは残念ながら圧死した。 彼は彼の仕事を果たしたのだ……。 バトル大好きマシーンは背中に乗った瓦礫を振るい落としながら立ち上がり、 ダブルスの優子も後から続いて立ち上がる。 そして二人の少女はパーティ会場に立つ、ソレを見た。 さてさてさて。 ニュースもニュース、特大ニュースが舞い込んでいらっしゃいました。 各国首脳が集まるパーティに巨大不明生物が出現しました。 全長五十メートル。 巨大な、筋骨隆々の二足歩行する蜥蜴。あるいは強大な直立する鰐。 そんな描写すら、無意味と化すほど。 暴虐さの凝縮された生命力が、矮小な人の感覚器に叩き込まれる。 ―――ソレは黒く、無骨で、鉄塊じみた、破壊と暴力の化身だった。 『皆さま、ご紹介させていただきます』 巨大不明生物が突き破ったせいで天井から破片がボロボロとこぼれる中で、 会場に設置されたスピーカーから淡々と、皮肉さを感じさせるテノールの声がする。 「見てください! 優子ちゃん!」 「あれは……!」 パーティー会場、怪獣が立つ場所の後ろ。 壁際のマイクスタンドの前にソフト帽とスーツに身を包んだ黒塗りの男性が立っていた。 もし彼女たちが平凡な女子高生であればスーツ姿の影法師に気づきつつも、何も。 急転直下に激動激変の状況に圧倒されて何もできなかっただろう。 しかしここにいるのは苛烈にして強烈なダブルスチーム。 バトル大好きマシーンとダブルスの優子だ。 「好きマ!!」 「合点! です!」 ダブルスの優子は『Dear My Dear(ダブルスしようぜ!)』を発動する。 ダブルスの相方――つまりバトル大好きマシーンへ強化(バフ)がかかる。 内容は瞬発力と速度! バトル大好きマシーンは肩から蒸気を噴き出して、猛烈な勢いで怪獣のところへ。 そしてその後ろへいるブラックスワンへと駆け出した。 優子もなぜか一瞬感じた腹の違和感を無視して自分の相方を追いかける。 ブラックスワンはマイクを通して言った。 五百万ドルかけて作られ、五千兆円のために稼働し、 五十センチの立方体から全長五十メートルとなる、黒き怪物。 『彼は地球という綺羅星に君臨する、怒れる怪獣――五綺羅(ゴキラ)ブラックスワンでございます』 漆黒の怪獣は――五綺羅(ゴキラ)は誰もが想像する通り、 口からビームを吐いてバトル大好きマシーンとダブルスの優子を薙ぎ払った。 ――――パーティ会場ごと。 ★・★・★ H・リー、牛尾栞は口をあんぐりと開けて試合の中継画面を見ていた。 栞の隣にいるヴィタは頭を抱えている。 「そもそも話、妙なんだよ」 ブラックスワンの相棒、ヴィタは心底苦み走った表情――今度は笑顔の要素はない――で言う。 「先日の仕事もだ。マッサージ師に化けて侵入する、は、まぁわかる。 でもどうしてオイルマッサージについて馬鹿正直に勉強して、殺す相手に! ターゲットに一時間じっくり馬鹿みたいに時間をかけてマッサージする必要があるんだ!? そして、奴にそう指摘したらなんて言ったかわかるか!? 栞さん!」 「えぇと……」 「こう言ったんだよ」 『私は何事も適当に済まそうとする方、許せないんですよね』 「あいつは、本当に、扱い辛い―――!」 「ま、真面目……?」 栞はぽそりと呟く。しかし、その形容は正しいようで正しくない。 ヴィタが語ったように、一側面なのである。 つまり、ブラックスワンは―――。 「真面目と表現するのは正しくない―――ブラックスワンはな、馬鹿真面目(・・・・・)なんだよ。 真面目すぎて変な方向行く奴がいるだろう。アレの究極系だ。 真面目だから(・・・)誰も予想のつかない独創的な、斜め上にかっとんだことをする」 それこそまさしく【イワンのばか】のように。 突然の怪獣の召喚と、マイクパフォーマンス。どう考えても非効率だ。 もしもヴィタがブラックスワンの『大会』準備に関わっていたのなら、 全力で止めるぐらいの暴挙である。 理由はあるのだろうがヴィタの頭では理解不能だ。 彼はどちらかといえば暗殺に適性があるのだから。 備品である多くの各国著名人に紛れ込み、意識の外から二人を暗殺する。 第三者から見れば、暗殺者にとって一番自然な戦法はそれだ。 だが、ブラックスワンはこの計画を実行した。 彼は彼なりに、真面目にアイデアを一つ一つ吟味して。 結果、荒唐無稽でめちゃくちゃなプランを採用した。 なぜか? 彼が馬鹿真面目(・・・・・)だからだ。 これが一番勝てる計画だと頭を捻って、結論づけたからだ。 真面目さによって引き起こされる、決して自然な世界の流れではありえない死と殺戮。 ―――誰もが予測できない、壊滅的不自然現象(ブラックスワン)。 それが、彼の正体だ。 H・リーはヴィタの話を聞いて――余裕を取り戻して、笑った。 「はっはー! ヴィタちゃん! 甘い! 砂糖菓子よりも甘い!! 君の相棒もやべぇけど、俺のSTARSだってぜーんぜん負けてないんだぜ?」 ★・★・★ 五綺羅(ゴキラ)のビームにより飛び散る火花、飛散するトンを軽く超える破片の数々。 豪華絢爛だったパーティ会場と参加者たちは蹂躙されていく! 日本の内閣総理大臣以下内閣閣僚、アメリカの大統領以下ホワイトハウス閣僚。 イギリスドイツフランスイタリアその他諸々以下閣僚! 全てが熱線で薙ぎ払われる! もはやこれは一国の内閣などという規模を超えた圧倒的暴虐! 指導者層総退職ビームだ!! しかし――なお、高島バトル大好きマシーンと那須井優子は生きていた。 ダブルスの優子はとっさにバトル大好きマシーンへのバフを増大させ、 バトル大好きマシーンは優子を守らんがため大きく身体を広げた。 後ろにいる優子へのビームを、バトル大好きマシーンはそのずば抜けた肉体で防いだのだ。 会話はない。咄嗟の行動にしてコンビネーション。 これが見るものを震え上がらせ、知るものに畏敬を抱かせる、 二人の阿吽の呼吸にしてシナジーだった。 「あの、怪獣が、まっくろくろすけの相方みたいね……!」 「そうですね。……優子ちゃん、声が震えてますけど怖いんですか?」 「は、はうァッ? あたしが? 怖い? そんなわけねーっつの、気のせいよッンッ!」 (セイヨン……。やっぱり怖いんですね優子ちゃん……ひどいです! こんなのやりすぎです! 私は花も恥じらいすぎて萎れるごく理想的女学生ですが、友達のためだったら頑張れます!) (ぐ、おおお、どーしてこんな時に腹がァッ。 けっこーピンチだし、好きマぜったい気にして変にテンション下がるから言えないィッ……!!) 「優子ちゃん! 私に力をください! 五綺羅(ゴキラ)さんに勝てるぐらいお願いします!」 「が、合点!!」 すれ違いなどなんのその。 優子は震える声で『Dear My Dear(ダブルスしようぜ!)』を発動する。 ダブルスの相方にバフを掛け、 瞬発力を上げたりロケットパンチを飛ばしたり空飛ぶドラゴンに変えたりできる魔人能力だ。 当然バトル大好きマシーンを全長五十メートルにすることもできる。 ブラックスワンは五綺羅(ゴキラ)と比して充分なほど巨体となったバトル大好きマシーンを見て言った。 『おお! これはまさしく怪獣対決ですね。 タイトルは―――五綺羅(ゴキラ)VSメカ好きマと言ったところでしょうか!?』 全長五十メートルのバトル大好きマシーン。 ……いや、メカ好きマの肩甲骨のあたりから蒸気が噴き出す。 排熱によって噴き出る蒸気、熱気。 破壊、闘争。 いや、バトル(・・・)の熱量とはこういうものだと貧弱な生き物に思い知らせる巨大エネルギー。 五十メートルという巨体も合わせて、 強大な存在だと否応なく理解させられてしまう生物としての【格】。 故に彼女もまた怪獣の名に相応しい……。 相応しいのだ!!!!!!! 巨体になったせいで魔人能力、『バトル大好きマシーン(ハンマー、ウイング、ロケットエンジン)』の排熱規模も数十倍。 蒸気の中佇(たたず)む凄惨さすら感じさせる風格は、もはや人ではない!! というか人などもういない! 足元でちょろちょろする人間は全滅! みな分子構造から分解され、爆散したか瓦礫でぺしゃんこだ! もはやこの場において人間はゴミ以下! 五綺羅(ゴキラ)は人間を狙ってすらいない。彼らはただ巻き込まれただけだ!! 『そう、これは最初から――怪獣同士の闘いだったのですよ!!』 ギョエェェェェェェェエエエエェ――― グォオオオオオオオオオオオオォ―― メカ好きマの鳴き声に合わせてビームを止めた五綺羅(ゴキラ)も吠える。 両雄は相対する。 漆黒の破壊の化身。女子高生の闘争の機械。 荒れ狂う嵐とパワーが凝縮した二体の怪獣。 ブラックスワンが先ほどからずっと発動しっぱなしの、 『黒染めの白鳥』によって五綺羅(ゴキラ)の首から下を彩る姿絵を動かす。 すると五綺羅(ゴキラ)を構成する人工筋肉と強化外骨格が、 色彩追尾センサーによって黒い姿絵の通り駆動する。 『バトル大好きマシーン(ハンマー、ウィング、ロケットエンジン)』の魔人能力もまた発動しっぱなしだ。 巨大化した影響でメカ好きマが発する駆動音は、いまや轟音! 構えた瞬間噴き出す蒸気!! 五綺羅(ゴキラ)VSメカ好きマとブラックスワンは名付けたが、 どちらかというとメカなのは五綺羅で生き物はメカ好きマの方だ。 だがそんな正気はいらない!!! 捨てろ!!! シャンデリアや世界各国の料理など、パーティを飾っていたすべては火種となり炎と化した!! 地獄などというのは、もはや生ぬるい。 ここは怪獣の楽園なのだ!! 大切なのはいま! 目の前で起きている確かな現実!! 五綺羅(ゴキラ)とメカ好きマが激突する。二体がぶつかり合った衝撃波がパーティ会場跡地をより破壊する。 五綺羅(ゴキラ)の後ろにいる漆黒の人型が衝撃波により思わずたたらを踏む。 なぜか腹を押さえている、 この世のものとも思えぬ女子が決して浮かべてはいけない表情をしている優子もさらに屈むほどだ。 五綺羅(ゴキラ)とメカ好きマの重厚な筋肉がぶつかり合う。 人間の常識など遥かに超えた”力”と”力”! これこそ怪獣。これこそ暴力。 これが今、この場にある真実なのだ!! メカ好きマは五綺羅(ゴキラ)と怪獣大決戦を繰り広げながら、 自らの心のうちに浮かびあがる感情に驚愕していた。 歓喜? まさか、彼女はバトルに我を忘れることはあっても喜ぶことはない。 怒り? 義憤は先ほどまで優子のために抱いていたものだ。今は違う。 メカ好きマの――バトル大好きマシーンの感じているもの。 それは、恐怖だった。 「びっくり! びっくりです!! 私、あなたが怖くてたまらないんです(・・・・・・・・・・・)!!」 (日課の1000人組み手の人数が五兆倍増えたぐらい怖いです!! つまり私の頭だと理解できないくらい怖い! 心臓がバクバクします! なんででしょう!? どうしてただのおっきな蜥蜴じゃなくて本物の怪獣だって私は思っちゃってるんでしょうか!?) 五綺羅(ゴキラ)は吠える。 その咆哮は、地と天を揺らすべく世界に突き刺さる万象の碇。 五綺羅(ゴキラ)は左足を前に出し、大きく身体を吹きすさぶ猛風のごとく旋回させ、 尻尾をメカ好きマに叩きつけた。 まるで荒ぶる、神のように。 [回想開始] 「怪獣とは荒ぶる神であり、地球の怒りでもあるのです」 畳の大広間にて、正座したブラックスワンは簡素な和服を着た人物に教えを乞うていた。 近年、大ヒットした怪獣映画において、 モーションキャプチャーを通して怪獣を演じた偉大な狂言師(きょうげんし)である。 彼は多くの観客に荒振神を魅せたのだ。 怪獣の動かし方、ひいては演じ方を、そんな一流に学ぶために。 ブラックスワンは、依頼していたプロダクションを通じて彼に面会したのだ。 「はい、知っております。故にその在り方を学びに来たのです」 「ブラックスワンさん」 「はい」 「神、怪獣、そして感情――そういったものは、幽玄(ゆうげん)なるものです」 「美学理念ですか?」 “わびさび”くらいなら頭で理解できるが、“もののあはれ”やら“幽玄”は難しい。 裏社会人にとっては縁遠い概念であることも拍車をかける。 「もっと単純なことです。――そういったものは、この確かな浮世にはない。 幽(かすか)かなものです。だから奥深い」 「かすかでは困るのですが」 ブラックスワンは怪獣を作りに来たのだ。現実には存在しないと断じられると戸惑ってしまう。 「ええ、そうですね。 ですから幽玄なるものを皆に垣間見せるため、依り代となるのが演者なのです。 依り代があれば、幽(かすか)かなものであれど見ることはできますから。 ――あなたは怪獣という、いつかテレビや映画で見た、確かにあったものを演じようとしている。 それではいけません」 「難しいですね、もっと明確な定義が欲しいところです」 「怪獣は決して爬虫類の化け物ではありません。 どちらかというと、神がそのまま移動しているような威厳であり、畏れそのものです。 ……では体験してみましょうか。百聞は一見にしかず、です」 狂言師(きょうげんし)は立ち上がった。 ブラックスワンは姿勢を正して、決して見逃さないように目を、 顔が真っ黒なので表情も目も外からでは見えないが、凝らす。 「Seeing is believing.“見ることは信ずること“。なるほど、手っ取り早い」 そして狂言師(きょうげんし)は、怪獣を演じた。 ―――そこには神がいた。 怪獣であり、神であり、怒りである。 幽玄なるものがそこにはいた。 現象としては腰を落として、すり足気味で動きながら、 上下運動を極力減らして、平行移動しているだけだ。 身体を微細に、時には大袈裟に動かしているだけだ。 しかし――荒ぶる神だ。これは。 鳥肌が立つ、恐怖を刺激される、魅了される。 自然と息をのむ、ということをさせられてしまう。 ブラックスワンは、狂言師(きょうげんし)の怪獣を観た後。 少しだけ疑心を抱いていたことを詫び、真剣に所作の指導を受けた。 ブラックスワンは多くを学んだ。その結果は―――。 [回想終了] そして。 五綺羅(ゴキラ)は。 静かに頭(こうべ)を垂れた。 「―――うっ」 (まずい、まずい、まずいです! 絶対まずい!! 何か、とてつもないことが起こる!!) 五綺羅(ゴキラ)の背中から生えた禍々しい突起物が変色していく。 『黒染めの白鳥』で形作られた五綺羅の姿。 その背中の黒だけを極端に薄くして、起きている現象は世界に観測できるものとなる。 赤からオレンジ、白、水色――青。 うつくしい、あお。 その色の変化は、五綺羅(ゴキラ)の肉体温度が馬鹿らしい速度で上昇していることを示していた。 あらかじめ決められた動作をすることで発動する仕組みは、怪獣ならばできて当然の代物。 (きれい――――。 ってああーーー!! まずい!!! 呑まれます! 行かないと、止めないと!! ああ、でも!! もう!!!) ……間に合わない。バトル大好きマシーンの異様な戦闘勘が結論づける。 恐怖によってわずかに開いた距離、一瞬の魅了によって経過した時間。 そのわずかな隙が累積し、止めることはできない。 手遅れ。 そして五綺羅(ゴキラ)の口から、 先ほど会場を薙ぎ払った時とは比較できない太さの青いビームが発射された。 少し時を戻して。おそらく気になっている人もいるだろう彼女へ視点(カメラ)を向けよう。 ダブルスの優子。再度また、那須井優子の魔人能力を引用する。 『Dear My Dear(ダブルスしようぜ!)』 ダブルスの相方にバフを掛け、 瞬発力を上げたりロケットパンチを飛ばしたり空飛ぶドラゴンに変えたりできる。 代償として、術者は掛けたバフ量に応じた便意を催す。 継続的なバフの場合、一度出しても5分後に再度催す。この制約は本人に認識できない。 バトル大好きマシーンとダブルスの優子がダブルスを組んで戦ったことは一度や二度ではない。 彼女たちは戦闘経験豊富だ。 だが。 全長五十メートルを超えるように、バフをかけ。 さらに二乗三乗の法則。 乱暴に言ってしまえば“巨大生物は自重で潰れる”、 というしゃらくさい物理法則をねじ伏せるバフをかけ。 その上からさらにプラスアルファのバフをかけるという。 通常の戦闘を遥かに超えるこんな強化をしたのは初めてだった。帰結として。 「―――――――――――!!」 (しぎゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!) 優子は声も出せぬ激痛に膝をつく。 彼女は先ほどの怪獣同士のぶつかり合いによる揺れもあり、すっかり屈みこんでしまっていた。 それも当然だろう。 便意と腹痛は密接な関係にある。 許容値を超えた便意は腹痛を。 そしてさらなる便意はさらなる腹痛を引き起こすのは自明の理! しかし彼女は能力と腹痛の因果関係、制約を認識できない! 苦しむ彼女のリアルは目の前のいっそ神々しささえ感じられる、とびっきりの最強VS最強ではない。 自らの腹の痛みなのだ! (も、無理……!! 無理過ぎる!!) 優子は顔を上げて、どうにか現状を把握する。 好きマ、五綺羅(ゴキラ)、そして五綺羅(ゴキラ)の後ろに立つ黒塗りの男。 怪獣の戦いは激しすぎる。 五綺羅(ゴキラ)とメカ好きマのバトルフィールドを通り抜けるのは不可能だ。 足を踏み入れた瞬間に潰される。 しかし、それは向こうも同じことなはずだ。 ブラックスワンはメカ好きマの後ろにいる優子の下へは来れない。 そう判断し、優子は地面に手をついて起き上がろうとして――。 気づけたのは奇跡に近いだろう。優子の髪に、何かが触れた感触があった。 まるで風が髪を揺らすように、何かが髪に一瞬だけ接触した。 気配はない。しかし、優子は確信した。後ろに誰か立っている(・・・・・・・・・・)!! (誰、敵、ブラックスワン、どうして? ふざけ、幻影、無理、死、負け―――) [回想開始] バトル大好きマシーンとダブルスの優子の同級生である二人の少年から、 一通り話を聞いたブラックスワンは小さく頷いた。 「意外と名前通りですね。 私、てっきりダブルスの優子さんがパワータイプで、 バトル大好きマシーンさんがバフタイプだと思ってました。 私にとってはどっちがどうでも同じですが、裏をかけますし」 「おい、こいつ性格最悪だぞ。しかも人の名前のことなんだと思ってんだ」 「やめよう卓ちゃん。高島が学校にいる時点でこの学校にいる奴は名前に関しては何も言えない。 それにあながち間違いじゃないし」 ブラックスワンは首を傾げた。 「ほう? 間違いじゃないとは。もしや言ってないことでも」 「あー、まぁ、滅多にないことだし」 「いえいえ、是非聞かせてください」 もしかしたら追加投資も必要かと思ったが、少年たちは快く教えてくれた。 今どき珍しい好青年たちである。 「こう、高島とダブルス組んでガーって優子が戦ってる時なんだが。 たまに優子が状況一切関係なく、もう無理! って顔すんだよ」 「うん、すっごい有利なのに、もうだめだ、絶望! って顔したりね。 もともと表情変わりやすいからよくわかる。本人はわかってないみたいけど」 「それで?」 「そっから、なんつーのかな、一気にやるぞッ! 殺すッ! って顔になって、 一気に相手をぶっ倒すんだよ、自分で」 「自分で? バトル大好きマシーンさんがいるのに?」 「なんかこうアレだよね、起死回生! 一発逆転! って。 そんな状況でもないのにやってるみたいな」 「ふむ……お二人の話を総合すると……」 ブラックスワンは少し考えてから言った。 「勝手に逆境に陥って絶望したと思ったら勝手に奮起して逆転する、ということですか?」 二人の少年は同時に頷いた。 [回想終了] (―――いやッ! 認めねぇつのッ!! まだ好きマが戦っている! 誰が好きマをダブルスの『大会』に誘ったと思ってる!? あたしだろーがッ!! そのあたしがあっけなく死ぬわけねー!!!) 優子は全力で――突きつけられている銃に向かって、後頭部(・・・)で頭突きをした。 ル・マット式リボルバーの銃口が優子の後頭部から左側頭部をゴリゴリと擦る形で移動する。 そして優子の左耳の傍(そば)から地面に向かって銃弾が発射された。 「ダラッシャァッ!!」 優子は鉄の塊を頭に擦りつけられた痛みも、銃声による鼓膜の激痛も無視して、 思いっきり地面に両手をつき、後ろに向かって足を振り上げた。 それを予測していた(・・・・・・・・・)ブラックスワンは後ろへスウェーする形で優子の足を避けると、 三歩バックステップをした。 移動する合間に再び撃鉄を起こし、立ち止まった瞬間に優子へ銃口を向ける。 「ミスダブルスガール、シングルバトルしましょう?」 ブラックスワンは優子へ向かって引き金を引いた。 (あ、これ、いけます! なんかよくわからないけどいけます!!) バトル大好きマシーンは五綺羅(ゴキラ)が発射する青いビームを見た瞬間に、 自分の中にあったものに気づいた。 (優子ちゃんですね! ありがとうございます! 力を貸してください!!) 心の中で感謝を述べて。 メカ好きマは優子が巨大化と一緒に盛り込んだ、もう一つの強化能力を使用した。 肩甲骨のあたりから噴き出る蒸気の量が上昇する。 蒸気は霧となり、霧は濃霧へと変ずる。 彼女の中で起こった現象もまた、五綺羅と同じエネルギー蓄積。 そしてついに、その真っ赤に燃え盛るバトルエネルギーがメカ好きマから発射された! GYOEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!! 口腔から吐き出される圧倒的光線! 五綺羅の青とメカ好きマの赤の線条が衝突する! 先ほどのぶつかり合いによる衝撃波を超えた、エネルギーの激突だ! パーティー会場の残骸が吹き飛ぶ。 大きな瓦礫がまるで紙吹雪のように浮き上がり、落ちていってはさらに会場を蹂躙する!! 互いのビームが相殺されて、一瞬の静寂。 それが第二のゴングとなった。 戦いは一層激しさを増す。 五綺羅(ゴキラ)は長大な尾をメカ好きマに叩きつける。好きマもまた応戦する。 殴る、殴る、殴る。 五綺羅(ゴキラ)は仰け反るが、しかし一歩も引かない。 むしろメカ好きマとの距離を縮める。 その詰められた距離をメカ好きマは利用する。 五綺羅(ゴキラ)はメカ好きマに持ち上げられて地面へ叩きつけられた。 五綺羅(ゴキラ)はめちゃくちゃにのたうち回る! と思いきや青い怪光線を吐き出した。 吹き飛ぶメカ好きマ。起き上がる五綺羅(ゴキラ)、メカ好きマ。 腰の入っていない叩きつけなどノーダメージだ! 先ほどのようにエネルギー充填のないビームなど効くわけがない!! 怪獣大決戦!! 巨大。――この言葉は簡単に使われ過ぎている。 『試合』を映像機器で観戦している人々は本物の巨大を見た。 巨大を骨の髄まで味わうことに恍惚を感じる。怪獣の美。 巨大であり、巨体であり、強大である。 それだけで圧倒的なのだ。人類を脅かす脅威なのだ。 なんて素晴らしくも恐ろしいのだ、怪獣とは! もう『大会』やら『試合』なんてどうでもいい! 五綺羅(ゴキラ)とメカ好きマの重厚な戦いをもっと見せてくれ!! 「けほっ、と言っても、いつか映画は終わるものです……」 ブラックスワンは埃(ほこり)まみれのスーツを叩きながら起き上がる。 先ほどル・マット式リボルバーを撃った時。 五綺羅(ゴキラ)のビームに好きマがビームを合わせた光景を視認したブラックスワンは、 銃弾が当たったかも確認せずに回れ右をして逃走した。 優子、そして怪獣バトルから離れるように、走り回りながら瓦礫を避けきることに専念し、 五綺羅(ゴキラ)の首から下、 『黒染めの白鳥』で覆われた部分が損なわれないギリギリの射程まで距離を取ったのだ。 瓦礫の山よりも五綺羅(ゴキラ)とメカ好きマの方が十数倍大きいため、視界は効いている。 故に操作もできているが……。 矮小な人間にとってこの大きさメートル単位で重さトン単位の瓦礫の山は危険である。 ブラックスワンはいつ崩れるかもわからない瓦礫の隙間を潜り抜けて移動する、 なんて愚かな真似をはしたくない。 安全第一、それは山道も暗殺も同じなのだ。 ブラックスワンは瓦礫の上に座り込むと、 パーティー会場が健在だったころに拝借したグラスへ、落ちていたビンの液体を注ぐ。 彼はその、お高いグレープフルーツジュースをごくりと飲んだ。 酒など飲めるわけがない。判断能力が落ちる。 さて――実は、状況はかなり悪い。 日本を代表する、怪獣とはいえば此処! という最強のプロダクションに制作依頼をしたとはいえ、物事には限界がある。 事前に聞いていた五綺羅(ゴキラ)のスペックと現状を比較すると、崩壊は近い。 休みも修繕もなくフル稼働させているのだ、さもありなんといったところだろう。 しかも――メカ好きマは、つまり五十メートル級に強化されビームも吐ける怪獣は健在だ。 で、あればダブルスの優子はまだ生きている。 ブラックスワンは襟元につけたピンマイクを通して言った。 『生きてますか? 優子さん』 パーティ会場、いや元パーティ会場といっても過言ではない、炎の数々と瓦礫の山。 しかし、まだ一つスピーカーが生きていたのか、雑音混じりの声があたりに響く。 瓦礫の山の向こう側から声がした。 「バ、バリバリ生きてるっつーの。残念でしたー!」 元気な優子の大声があたりに響く。 大声といっても、優子の声もスピーカーの声も怪獣大決戦と比べたらささやかな音量しかない。 少なくともバトル大好きマシーンには聞こえていないだろう。 そんな分析もしつつ、ブラックスワンは朗らかに言った。 『ああ、よかった、安心しました』 「……チッ 超腹立つ……! てーかどういうことなん!? あたしからは、五綺羅(ゴキラ)の後ろにいるように見えてたし、今も見えんだけど」 『あそこには司会進行役として偽物の私を置かせていだたきました』 『黒染めの白鳥』は空気も黒く染めることが可能であり、 一部分だけを黒く染めることで絵を描くこともできる、応用性が高い能力だ。 五綺羅(ゴキラ)も実態は人工筋肉と強化外骨格で出来た無骨な代物だ。 制作会社がガワを含めて作り込んだのは首から上だけである。 その下、身体は『黒染めの白鳥』で染め、 漆黒の影に沿って動くように色彩追尾センサーを仕込むことで、 五綺羅(ゴキラ)ブラックスワンという怪獣として成立させている。 五綺羅(ゴキラ)の後ろにいるマイクパフォーマンスをしてそうな真っ黒な男もまた、 『黒染めの白鳥』によって黒と薄い黒で繊細に描かれた三次元の絵なのだ。 「んじゃー、この聞こえるマイクはなにッ? マイクスタンドはあっこにあんじゃん!」 『ご存知ですか? 広い場所でお仕事をするサービス業。 つまりウェイターはインカムやピンマイクを通して連絡を取り合います。 そうして組織的に素晴らしいおもてなしを実現するのです!』 言外にウェイターのインカムとピンマイクを奪ったと伝えるブラックスワン。 五綺羅(ゴキラ)の後ろ、 壁際に設置されたメインマイクスタンドにはインカムが括りつけられている。 あまりじっくり見てほしくないところだ。 ブラックスワンのピンマイクからインカムへ、インカムからメインマイクスタンドへ、 メインマイクスタンドから、パーティ会場全てのスピーカーへ。 三重の音声機器を通しても意外と綺麗に聞こえたとはいえ、見た目はあまり美しくない。 ブラックスワンの衒学と韜晦に満ちた台詞に、 優子は憤るでもなく、感心するでもなく、静かに言った。 「……ちょっと、待ってろ」 優子の声は聞こえなくなった。 ブラックスワンは肩をすくめる。 彼は手に持ったグラスのぶどうジュースを再び飲んで、瓦礫の上に置いた。 ……決着は、近い。 ダブルスの優子は自らのバフに限界がないと理解している。 本人に認識できない制約があるがゆえに、限界がない。 だから絶対的危機に陥り、決して描写はしない、しないが。 瓦礫がいい具合に積み重なり、いかなる場所からも観測できない箇所において、 乙女の尊厳的な意味で、危機を脱した時。 優子は真剣な表情を浮かべて。 彼女の人生で一度もなかった絶大な量のバフをバトル大好きマシーンに投入した。 其は怪獣映画のクライマックスに頻出する現象。 其は怪獣VS怪獣を盛り上げる最高の要素。 其は――――――戦っている最中の、パワーアップである。 G“Y”O“E”E”E”E”E”E”E”E”E”E”E”E”E”!!!!!! 五綺羅(ゴキラ)の目線が、上がる。 上がる。 上がる。 見上げる。 ―――メカ好きマの全長が、百メートルになった。 メカ好きマの目は爛々と輝き、物理的に発光している。 受肉した天災、戦争の権化、人間性を伴わぬ戦闘機械。 埒外の怪物。 その口腔から一切の躊躇いもなく、ごん太バトルビームが五綺羅(ゴキラ)へ発射された。 五綺羅(ゴキラ)の全身は真上から吐かれた赤い柱に飲み込まれる。 五綺羅(ゴキラ)の人工筋肉が分子構造から消滅していく。 強化外骨格が蒸発し、プラズマ化する。 メカ好きマがビームを吐き切った時―――変わらず五綺羅(ゴキラ)はそこにいた。 しかしそれはただ空間が黒く塗られているだけだ。 そこにそういう絵があるだけだ。 証拠に、誰も気づいていないが、サイズが少し小さくなっていた。 ブラックスワンを中心とした半径五十メートルという『黒染めの白鳥』の射程距離上、 離れた分だけ作り出す黒い影の最大値は小さくなってしまうのだ。 肌からしっかり作られていた頭の部分も蒸発してしまった以上、 五体満足を保とうと思えば見掛けのサイズダウンは避けられない。 メカ好きマは首を傾げると、片手を伸ばして見せかけの五綺羅(ゴキラ)を圧し潰そうとする。 そして黒い空気に触れたメカ好きマは知るだろう。そこにはもう何もないと。 もう、駄目だ。五綺羅(ゴキラ)は死んだのだ。 ――――――――――――――本当に? [回想開始] 追加で資金が必要になったブラックスワンは新たな仕事を引き受けた。 『大会』の準備にヴィタは関わらせていないが、 通常の仕事はオペレーター兼マネージャーと組んでやるのが効率的だ。 さっそくヴィタが用意した日本での案件を受託し、暗殺の仕事に取り掛かる。 ブラックスワンはターゲットを大きな車輪に括りつけて壁に設置していた。 「た、たのむ、金は、いくらでもやるから! 助けてくれ!」 ブラックスワンはターゲットを背にしながら手に持った携帯端末を確認する。 「えーと、投資詐欺に健康食品詐欺にワンクリック詐欺をはじめとしたネット詐欺。 被害者一同のカンパによる暗殺依頼……? ヴィタはどうやってこんな契約をまとめたんでしょう……? ん?」 ターゲットを死出の旅路に送り出す相応しい言葉を考えるために資料を確認していると、 ある情報に目を止める。 ブラックスワンは振り向いてターゲットに近づく。 「ねぇ、あなた」 「ひぃ、助けてくれるのか?」 「あなた、特撮映画……特に怪獣が好きというのは本当ですか?」 「あ、ああ……」 「あなたにとって怪獣とは何ですか?」 「……こ、答えれば、助けてくれるのか?」 ブラックスワンはターゲットを括りつけている車輪を力強く二回転させた。 ブラックスワンは淡々と愛想よく口を開いた。 「少し答えづらい質問でしたかね? よくクリエイターに“あなたにとって映画とは何ですか?”とか、 “あなたにとってゲームとはなんですか?”とか、 最後にそんな質問をして会心の取材をしたと思い込んでいるような記者がいますが、 アレってよくないですよねぇ。 一言で例えられたり表現できるような代物なら、それを仕事にするわけがないですから。 ……元から無理がある質問だとは思ってますよ、でも、答えてほしいんです」 名も無きターゲットは、顔を真っ青にしながら口を開いた。 「プロレスだ」 「……?」 「俺たちにとって怪獣ってのはプロレスの王者だったんだ」 「プロレス? なぜプロレスが出てくるんです?」 制作現場からも、狂言師(きょうげんし)からも聞かなかった単語だ。 日常を破壊する姿を見て、破壊の美と恐怖を感じる。それが怪獣というものではないか? ブラックスワンは怪獣を愛する生の声に耳を傾ける。 「ジャイアントスイングで振り回されても、怪光線をくらっても、 二体以上のモンスターに袋叩きにされても。 炎で燃やされ尽くしたって、――相手の全ての必殺をくらっても、意に介さない。 どう考えても負けて当然なのに、そんな道理なんか食い破って、最後は必ず怪獣として勝つ。 俺たちはそこにプロレスの精神を見たんだ。圧倒的な、怪獣ってもんを見たんだ」 なのにどうして俺は――と言葉にもならない唸り声を出して。 名も無き怪獣映画愛好家は口を閉じた。 ブラックスワンも彼が語った怪獣の姿を心に焼きつける。 ……贈る言葉が決まった。 人を殺す。それがブラックスワンの仕事だ。 仕事は完璧に行うものだ。最低でも、そう努力するものだ。 人はたいてい無意味に死ぬ。しかし、暗殺とは、その死を飾り立てることができる、唯一の仕事だ。 無意味な絞首刑ではない、退屈なギロチンではない、凡庸な刺殺ではない。 その人生の在り方に相応しい死を齎すことができる仕事だ。 ブラックスワンは頷くと、淡々と抑揚薄く、 しかし楽しくてたまらないという感情だけは理解させる奇妙な語り口で言った。 「あなたの憧れがあなたの人生に根付いていれば、チンケな犯罪など積もらせず、 きっと違う生き方ができたでしょう。だが、そうはならなかった。 だからこそ――あなたには生まれた意味がある。 ……あなたは、私に怪獣とはなんたるかを教えるために生まれてきたのですよ」 「ふざけ〈銃声〉―――――」 撃鉄を起こし、照準を合わせ、相応しい言葉を贈り、引き金を引いて、真面目に殺す。 ―――真面目な裏社会人、ブラックスワンとはそういう男だ。 ブラックスワンは銃を降ろして考える。 プロレス、全てを受け切って勝つということ。 ――この仕事で得られる資金を使って確保する秘密兵器(・・・・)を、最後の最後に回す? 相手の全力を受け切る? わざわざそのために待つ? 切り札は最後までとっておくものなれど、試合が終われば死に札なのに? しかし、そうまでしなければ勝てない相手であることも確かなのだ。 たくさんの人がいる空間へ潜みながら暗殺を決行する。 一見正しいように見える考えだ。だが、違う。 相手は二人いるのだ(・・・・・・・・・)。 一人を殺せても、二の矢であるもう一人にブラックスワンは補足されてしまう。 その時点で、もう計画ではなく博打になる。 さらに暗殺が失敗すれば、勝負にすらならず二体一で殺される。 フィジカルやその他諸々、数えるほど馬鹿らしいほど多くの要素で負けているのだ。 なのにどうして正々堂々真っ向から戦うなんて、不真面目な真似をしなくてはならない? 明らかに誠意を欠いている。 相手へ本気の敬意と殺意を抱いていれば、どんな手だって取れるはずだ。 ブラックスワンはそう思っている。 だから。だから。 ヴィタに難病を治すチャンスを与えるために。 『試合』を素晴らしいものにするために。 そして何より―――バトル大好きマシーンとダブルスの優子へ勝つために。 ブラックスワンは、地球で一番輝いている怪獣、五綺羅(ゴキラ)を信じることにした。 [回想終了] GYOE? メカ好きマは五綺羅(ゴキラ)に触れる前に、五綺羅(ゴキラ)の身体の中から青白い光が輝いていることに気づいた。 それは炎の色ではない。 メカ好きマ――バトル大好きマシーンが人生で一度も見たことない光だった。 五綺羅(ゴキラ)はのっそりと真っ直ぐ天へ向かって口を広げる。 好きマが見下ろして、五綺羅(ゴキラ)の口の奥に見えるのは―――。 (蒼い光が、輝いています) 蒼白い閃光。 続いて発生した全てを破壊する大爆発に、メカ好きマは飲み込まれた。 五綺羅(ゴキラ)の内部には、ブラックスワンが駆けずり回って集めた資金で得た切り札があった。 すなわち、 核 爆 弾 である。 いかなる場所でも処理に困り、 けれと廃棄もできない闇の奥底で開発されてしまったいわくつきのボムを、 安全に処理するという触れ込みで、ブラックスワンは比較的格安で手に入れた。 後できっと大会運営が一切の疵も環境への悪影響もなく処理してくれるから嘘ではない。 主催者、『大会』に感謝。 ブラックスワンは何重にも保護を重ねて、 五綺羅(ゴキラ)に内蔵していた人類には早すぎた綺羅めく爆弾を起爆した。 ごん太バトルビームを受けても蒸発せず、地面に落ちたソレを起爆できたのは、幸運であり、 ブラックスワンの計画通りだった。 ……だが、そんなことはどうでもいいのだ。裏方の黒子など、気にする必要はない。 大切なのは起こった現象。今ここにある真実。 ―――五綺羅(ゴキラ)は圧倒的猛攻を食い破って、ねじ伏せて、逆襲したのだ。 (勝ちましたね) ブラックスワンは五綺羅(ゴキラ)と一番遠い場所にいる。 メカ好きマは踏ん張るだろうが、瓦礫の向こうにいる優子が消滅した時、バフも消える。 ダブルスは終わり、メカ好きマはバトル大好きマシーンとなり、爆発に耐え切れず蒸発するだろう。 ブラックスワンが吹き飛ぶのは一番最後だ。 言い換えれば、最後まで生きて立っているのはブラックスワンだ。 最後に立っている者が勝者である以上、間違いなくブラックスワンの勝利になる。 「まーーだーーだってのッ!!」 しかしそうは問屋が卸さない。 いつのまにか、ダブルスの優子がダッシュでブラックスワンへ向かってくる。 どうやって瓦礫の山を越えたのか? 知れたこと。 愚かな行為だとわかっていても瓦礫の隙間を這って、縫って、移動したのだ! なんという蛮勇だろうか。 もしも怪獣大決戦の時の衝撃が悪い方向に行けばぷちっと潰れていたというのに。 だが優子は賭けに勝ったのだ! ……しかしブラックスワンは動揺しない。 勝ったのは五綺羅(ゴキラ)だ。ブラックスワンではない。 そんなことは最初からわかっていたことだ。 ブラックスワンは落ち着いて優子へ銃口を向ける。 対して優子は内心確信していた。いける、ブラックスワンはぶっ倒せる。 先ほどブラックスワンが優子を撃った時、銃弾は当たらなかった。 瓦礫が降ってきたからか? 違う。 優子は銃口を見て(・・・・・)、向きから銃弾を予測して避けたのだ(・・・・・・・・・・・・・・・・)。 彼女はそんな、シティなハンターにしか許されてないような芸当が可能である。 あとは簡単だ。 引き金を引いた瞬間、即座に避ける。 ブラックスワンを引き倒して、後ろから迫ってくる“光”に背負い投げて、放り込む。 いける。 ブラックスワンが、優子と同じバフタイプの能力者であれば、 五綺羅(ゴキラ)はこれで大きくパワーダウンするはずた。 脆弱な蜥蜴と化した五綺羅(ゴキラ)を、メカ好きマが優子消滅前に叩き潰せば、まだ勝てる。 逆転の目は充分だ。 ……黒塗りの男がバフタイプかどうかがまず願望なので、 優子は分の悪い賭けだと心の片隅で思っているが、 実際はブラックスワンを殺した時点で勝利となる。 しかし、ダブルスの勝負だと勘違いしたままであれば、諦めてしかるべき局面だった。 それでもなお、と。 絶体絶命の状況でも、分の悪い賭けでも、諦めないファイトソウルがあってこそ、 このチャンスは掴めたのだ。 優子は検討違いの推量と決して折れぬ闘志で ブラックスワンの用意した絶望の一つを踏み破ったのだ。 踏み破って、走って、走って。 優子は突然感じた絶大な量の腹痛に歯を噛みしめた。 くしくも、この瞬間、乙女的な危機を脱してから五分過ぎたのだ。 (ち、ちくしょー!! ここにきて!!ここまで、きて!!! もうだめ、だめなの――痛い、もう、あたしは、あたし、らは―――) その瞬間、圧倒的痛みによって全身の神経が暴力的に研ぎ澄まされた瞬間、優子は気づいた!! (――――あれ?) 突然だが、ル・マット式リボルバーについて説明しよう。 それは古銃である、九発のピンファイア式銃弾を発射できる。 それは―――コンビネーションガンの一種である。 (なんで) 誰もが想像する銃の砲身、その下に、さらに短い砲身がめり込むようについている。 短い砲身は、シリンダーの真ん中に空いた空洞に繋がっており、別の弾を込めることができる。 撃鉄の中には、さらに小さな撃鉄がついており、 それを切り替えることで撃つ銃弾を切り替えることができる。 つまり。 (銃口が、二つあるの?) ブラックスワンは口を開く。 「私達は互いに、数の問題に右往左往してきました。 ここで問題です。私は何弾撃ったでしょうか?」 高らかな銃声。 「正解は、散(・)弾でした」 ル・マット式リボルバーは一発だけ高威力の散弾が撃てるのだ。 「あー!!! しゃらくせーーーーーー!!!!」 しかし散弾をぶっぱなされるという逆境に陥った優子は、起死回生の奮起をした! 散弾は小さな丸い弾粒が散らばることにより、広い範囲と殺傷力を持つ。 ゆえに彼女は火事場の馬鹿力で銃弾を避けようとした。 元から銃口から予測して避けるつもりだったのだ。 避ける範囲が大きく広がっただけである。なんのことはない。 もちろん優子がどれほど覚醒しようが、全ての弾粒を避けきることはできない。 しかし……愚直で、愚かな、横っ飛びはみごと彼女に死を回避させた。 彼女の左肩周辺が広範囲にわたり大袈裟に吹っ飛ぶ―――だが優子は死んでいない! 加えて闘志は欠片も折れていない!! 肩のちぎれ飛ぶ痛みなど、腹の痛みに比べたらそよ風のティータイムのようなものだ!! 怪獣だけが美だと思ったか! ここにあるのは人間賛歌! 一人の少女の生命の息吹である! 左肩に散弾がぶち込まれた優子は、 溢れるアドレナリンとともにブラックスワンへと右手を伸ばして飛び掛かり―――。 ブラックスワンは、優子の腹へ向けて全力の蹴りを放った。 「げふッ!!!?」 優子も優子でなにをしでかすかわからない逆転ファイターであるとわかっていれば、対応は容易い。 人間を賛歌するというのなら事前調査を行い、しっかり準備した人間を。 確実に対応した人間こそを賛歌するべきなのだ。 ブラックスワンはそう信じている。 頑強な男性の本気の蹴りを腹に喰らった優子は大きく後方へ吹っ飛び、 乙女の尊厳的な何かを決して描写はしないが決壊させつつ、“光”に飲み込まれていった。 その瞬間、メカ好きマ―――バトル大好きマシーンもまたあらゆるバフを失い蒸発する。 五綺羅(ゴキラ)は……もう咆哮するギミックも消失したが。 咆哮する動作をして、勝鬨(かちどき)を光の中で上げた。 ブラックスワンは光の中にいる漆黒の怪獣を見て、両腕を大きく広げた。 怪獣、五綺羅(ゴキラ)には決して忘れてはならない味がある。 結局のところブラックスワンと優子の戦いもまた、矮小な人間の小さな争いに過ぎない。 だからこそ、必要不可欠なものがある。 この言葉を添えなければ怪獣は怪獣たりえない。 「この光もまた、環境を破壊し過ぎたる力を求めた人間社会に対する警告なのかもしれませんね」 そんなとっつけたような、スカムな雰囲気漂う怪獣映画特有の警句を発して。 ブラックスワンもまた、五綺羅(ゴキラ) の“光”に飲み込まれていった。 ブラックスワン(0.18秒差で)勝利 「負けたー!!」 「負けました!!」 那須井優子と高島バトル大好きマシーンは、 大会会場の専用転送エリアに戻されて開口一番そう叫んだ。 「うううう、めっちゃ、くやしい。え? めっちゃくやしいんだけど!」 「ごめんなさい、優子ちゃん。 私が五綺羅(ゴキラ)さんをもっと念入りに、生まれたことを後悔するぐらい消滅させていれば……」 「あんのまっくろくろすけー! あとちょっとでぶち殺せたのに……!」 「あの」 「「ん?」」 二人の後ろにいた牛尾栞がおずおずと言う。 「敗北で本当にいいんですか? 相打ちでは?」 「? 優子ちゃん、この人何言ってるんですか?」 「わかんない。どう考えてもあたしと好きマ、ダブルスで負けたわよね?」 バトル大好きマシーンはおずおずと栞へ言う。 「五綺羅(ゴキラ)さんが残ってる以上、あの、私たちの負けだと思うんですけど……」 「ブラックスワンだって、あたしより後に残ってたしー。目ん玉ついてる?」 「優子ちゃん! 言いすぎですよ!」 「………」 二人は、最初から最後まで、この『大会』がダブルスの『大会』だと信じていた。 ブラックスワン――いや、五綺羅(ゴキラ)ブラックスワンの手によって。 「それは、五綺羅(ゴキラ)は―――いえ、なんでもありません」 栞が静かに首を振った。 (これ以上は贔屓ですね。ボスじゃないんだから) 負けというなら、そうなのだ。 栞は笑顔を浮かべて言う。 「お二人とも、窓の外を見ていただけますか?」 「ん?」 「え?」 バトル大好きマシーンとダブルスの優子は揃って窓の外を見る。 建物の外では―――真っ黄色の、五綺羅(ゴキラ)にそっくりな怪獣が闊歩していた。 「「―――は?」」 窓の外から、わざとらしい声がする。 「うわあああああ!『倒したら五千兆ジンバブエドル貰える大怪獣』だぁぁぁ!!」 「『倒したら五千兆ジンバブエドル貰える大怪獣を作り出そうとして失敗して暴走させる研究所』 から脱走したー!」 「うわー! 自衛隊がやられたー! もうだめだー! 誰か『倒したら五千兆ジンバブエドル貰える大怪獣』をどうにかしてくれー!! なんでも倒したら五千兆ジンバブエドル貰えるらしいぞー!」 栞はこほんと咳払いをする。 「『大会』は終わったわけですが、どうなさいますか?」 「……好きマ!」 「はい!」 バトル大好きマシーンとダブルスの優子は専用転送エリアの窓を叩き割って、外へ飛び出した。 「うおおおお!! 五千兆ドルはあたしんだー!! ついでに怪獣にリベンジ―!!」 「そこはせめて私たちのものだって言ってくださいー!! でも怪獣リベンジは賛成します!!」 栞は窓の外で始まった第二回怪獣大決戦を見て、はぁとため息を吐いた。 ちなみにこれは関係ないが、 ジンバブエドルはもう使用されてないので実質的な価値はゼロ円である。 「さて、次に行きませんと」 「は?」 ヴィタは突然自分がグロック17を握ってどこかの小屋にいることに気づいた。 「私はさっきまで『大会』の馬鹿騒ぎを見ていたはずじゃ……?」 ドアからスーツケースを抱えた白衣の老人が飛び込んでくる。 「は?」 ドアの外から小銃の弾が大量にぶち込まれた。 「は、あ!?」 ヴィタは小屋の机を跳ね上げて盾にしつつ、どうにかグロック17を発砲して応戦する。 するといつの間にか机へ隠れてヴィタの隣で震えている白衣の老人がヴィタに喋りかけてきた。 「おお、天使の導きじゃ! 銃を持ったお嬢さん(・・・・)!助けてくれんか!? 袖振り合うも他生の縁というだろう!?」 「こんなクソみたいな前世からの因縁など願い下げだ!! それとも一緒に来世に行けと!?」 他生とはすなわち今の人生ではなく前世や来世を意味する。 突発的状況でも深い見識がないと出てこないセリフが出てくるのが、 ブラックスワンが気に入っているヴィタという女性である。 「ワシの抱えているコレなのだが、×××という病気を治す特効薬の青写真が入っているのじゃ!」 「ハァァァァァァッ!? おま、それ、私のかかってる病気じゃないか!!」 「おお、本当かの!? 実はこの病気は恐るべき陰謀が関わっておってのぉ。 薬を製造されると都合の悪い組織があるんじゃ。 それに襲われておる。 くっ、ここから五キロ離れたワシの研究所まで辿り着ければすぐにでも作れるのじゃが……!!」 「陰謀? 組織? 研究所? そんなもん聞いたことがないぞ!! いや、そんなもん存在するわけがない! あったら絶対に『過去に』私は辿り着いているは――、は―――??」 “参戦理由を聞いてもいいですか?” “現在雇っているオペレーター兼マネージャーの相棒。 つまりこのヴィタさんが難病に罹ってしまい、それを治すチャンスを得るためです” “もって回った言い回しをするな、ブラックスワン” “ごめんなさい、ヴィタ、趣味なんです” “ふん、まぁ知っているがな” それを治すチャンスを得るため ↓ それを治す機会(チャンス)を得るため ↓ それを治す苦難(チャンス)を(ヴィタが)得るため ヴィタはそれなりの付き合いがあるブラックスワンの隠された意図に気づいた。 この状況は。 頑張れば、ヴィタの難病を治せるこの状況は。 ブラックスワンの意図通りである。 「あのクソがあああああああああああああああああああああああ!!! 相棒にも容赦なしかあああああああああああああああああああああああああ!!!」 確信がある。ヴィタがこのチャンスを逃したら、この苦難に対処できなかったら。 ブラックスワンは残念がるだろう。 ヴィタがいないと仕事がうまく回らない未来になるとうんざりするだろう。 でも絶対、もうブラックスワンはヴィタを助けない。少なくとも無償では。 あいつはそんな不真面目を許さない。 助かりたかったら自分でやれ? もしくは報酬を払え? いかにもあのダークでブラックな男のやりそうなことだ。 「ご老人」 「なんじゃ?」 銃弾の雨が降る中で少女がそれはもう苦み走った険しい顔をしながら質問する。 「眼鏡をかけた、不機嫌そうな黒い短髪の女に見覚えは?」 「おお! あるぞ! ワシが若いころ、通りすがりに彼女がのぉ、コルチゾールと×××と美しい声で囁いた時、 ワシの頭に天啓が降りたんじゃ! きっと彼女は天使じゃったんじゃろうなぁ、ってなぜ、知っておるんじゃ?」 「またぞろ、ろくでもない……う、うふふ……」 「ど、どうしたんじゃおじょうさ「うるさい」ひっ」 ヴィタは凄惨な笑みを浮かべて、熱に浮かされたように呟く。 「いいとも、五キロ先? 連れて行ってやろう、だがすぐに治療薬を作れ!! ……相棒で有能だから無償で助けてくれると思っていた私が悪い。 だが、それはお前にも言えるよなァッ!? 強くて優秀だからといっても、 こんなことしたんだから私に襲われても文句は言えないよなァッ!?」 ヴィタはヤバい目をしながらグロック17を両手で構える。 「許さん、鉛玉をぶち込んでやる!!」 ヴィタは立ち上がって、ドアの外にいる小銃で武装した兵士たちへ突っ込んでいった。 H・リーは頭を両手で抱えながら完全な不毛の大地と化したパーティ会場の中継画面を見ていた。 「はー、予想外、MY STARSが勝てなかったのは残念だが、まぁなかなか面白かったな! 俺が見たかったのは星の輝きだけどー、面白いもんは面白い! いやーまったく教えられた!」 H・リーはそんなことを言って、他の『試合』を観戦しようとする。 彼が間近で、最高に楽しみたいのはどこまで行ってもMY STARSの輝きだ。 そうではない娯楽もH・リーは楽しめるし敬意も向けられるが、 一番の望みは星たちの最高の試合を、あますところなく楽しむことである。 《「いえいえ、気になさらず。主催者様、お任せください。 必ずや素晴らしい試合を楽しませてみせましょう」》 「――――あ? なんだろ、この記憶?」 ふとH・リーはブラックスワンが言っていたことを思い出し、 それを皮切りにして、H・リーの記憶が増設されていく。 H・リーはMY STARS――つまり彼が執着する選手たちを『大会』に誘う際、 自分でその選手たちの下へ向かった。 彼直々の要請は――道中に少々の障害あれど、快諾された。そのはずなのに。 全く身に覚えのない記憶が走馬灯のように増えていく。 「あ、いいよー」 + ... 「ただしあたしらに勝てたらだけどね! 主催者なら二人相手でも勝てるだろー? へいカモン! 好きマ!」 「では僭越ながら優子ちゃんと戦わせていただきますね!!」 「やったぜ!」 「多分暇だし大丈夫です」 + ... 「でも、その前に……やってみたいことがあるんです。 それをあなたが超えるまでは付き合ってくれませんか?」 「やるもんだぜ!」 「よーし、そうと分かったらやるしかねえ! 過去改変やさーん! 過去改変一丁お願いしまーす!」 「あいよー、じゃあ代わりに対戦相手に勝っておくれー」 + ... 「どんな敵が出てこようと、真剣ゼミがあれば余裕だぜ! (おもむろに過去改変屋さんことH・リーに斬りかかる)」 「やってやったぜ!」 「………」 + ... 「『Restaurant 死』のデスコックが、お料理をお持ちしましたよぉーっ」 「やるっきゃないぜ!」 「……リーさん、さっき言ってた“大会”ッスけど……あたしも出ちゃダメッスかね? ばーちゃんの枠余ってるなら譲って欲しいッス。 叶えたい望みは特にねーんスけど……TVに出たくって……!」 「ウン、イイヨ……」 「えっ、軽っ!? いいんスかそんな簡単で?」 + ... 「いや、簡単過ぎてちょっと納得できないッス! あっ! じゃあその“大会”の主催者であるリーさんが勝ったらあたしが参加する形にするッス! いいッスか!?」 「やらせていただきます」 「恨むからな」 + ... 「そもそもこの戦いに星側で出るメリットは殆どない……! 既に主催が予選参加者を壁打ちのための壁とかバカにしたせいで、 星に対する読者感情は悪化しているのだ! 普通に戦っても票は向こうに傾きやすいというのに、 締切45分前から作成しているこのようなプロローグを見せたら ……読者の感情はさらに壁側に傾くのは明白! ちょっとちやほやされたくらいで戦いに参加しようと思った事自体が間違いだったのだ……! そうだ……俺は十分頑張ったさ…… このままおとなしく……ただの壁として砂漠の片隅に埋もれるとしよう……」 「俺のこの考えを変えたかったら戦え! 恨みを晴らすついでに滅菌してやる!」 「やらかしたぜ!」 『ボス、ブラックスワンさんからのメッセージです。 “星の輝きを味わいたいあなたへ送る言葉です” “Master, become a star!” だ、そうです。その、頑張ってください……』 H・リーは、指数関数的に増大する、MY STARSの戦いの過去に飲み込まれていった。 「これをぶっ倒していつかぜってーリベンジよ――――」 「一度負けたことは勝ちで取り戻します五綺羅(ゴキラ)――――」 「あいつにぜったいにわからせてやる――――」 「こん、こん、こんなの最高(サイテー)だろ――――――」 「「「「――――ブラックスワンンンンンンン!!!!!」」」」 「『大会』で関わったブラックスワンの関係者へ望みを叶える苦難(チャンス)を。 ……という要望、叶えさせていただきました」 「ありがとうございます! ところで栞さんはチャンス、いらないのですか?」 「私は遠慮させていただきます」 「でも、あなたの後ろでリー様が炭化していらっしゃいますが。 MY STARSに勝てるまで帰れま十(テン)がそんなにきつかったのでしょうか?」 「私が見た限り、一選手につき帰れま千(セン)でしたけどね……」 「なるほど、そんなあなたにご朗報。 ここに余った費用で購入したエリクサー的なものがございます。 ●●●●●●●●●●くれたら、差し上げますよ? 試合で使う機会がなかったのでなんとラストエリクサー症候群になってしまいまして」 「……それが私の苦難(チャンス)ですか」 「ええ、私の要望であるがゆえに直接ボスをあなたが治療することはできませんよね? 『大会』の根底が覆りますから」 「……わかりました。●●●●●●●●●●ですね。お安い御用です、ですが一言」 「はい」 「あなたは、真面目に最悪ですね」 「よく言われます」 + 【怪獣映画の後によくあるエンドロール後の映像】 一枚の写真がある。 主催者の部屋、牛尾栞が頼まれて撮影したものだ。 窓の外では巨大なバトル大好きマシーンと彼女の肩に乗ったダブルスの優子が怪獣と戦っていて。 ドアからはグロック17を持った鬼の形相をしたヴィタが飛び込んできて。 黒いソファには炭化したH・リーがいて。 写真の中央にはブラックスワンが立っていた。 愛用のピンファイア方式のル・マット式リボルバーに加えて、 米国の南北戦争時代に南軍か使用していたマニア垂涎、歴史的ロマンがある一丁。 使用可能な状態のパーカッションロック方式(・・・・・・・・・・・・)のル・マット式リボルバー。 その二丁の銃を、ブラックスワンは愛しい物を抱きしめるように両腕で抱えていた。 ブラックスワンの背後には『黒染めの白鳥』によって真っ黒な文字が浮かび上がっている。 "Five stars shine on earth." ――――――地球上に綺羅めく五つの星、と。 そんな予測できないオチ(ブラックスワン)で、この映画は終わりである。
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つかさ・かがみ誕生日ミニSS 『ホーム・パーティー』 柊家のホームパーティーに招かれたこなた。 「いらっしゃいこなちゃん」 玄関で出迎えてくれたつかさに通される。 みきや他の姉妹はともかく今日は家長のただおも在宅。 すでに集まってこなたの訪問を待っていてくれていた様子。 つかさの笑顔に続いて一同の挨拶。 「「「「あ、こなたちゃんいらっしゃい、ようこそ」」」」 「え、っと、き、き、今日は、お招きいただきまして、あ、ありがとうございますっ」 さすがのマイペースこなたも緊張で声も詰まる。 「ぷっ、どうしたのよこなた、ガラにもなく緊張しちゃって」 「いや、何でもないですよ、カガミサン。ワタシ、イツモドオリ、デスヨ(ぎくしゃく)」 こなたにただおが声をかける 「やあ、こなたちゃん、と呼んでいいかな?今日はウチの娘たちのためにわざわざありがとう」 「いえ、ご家族のパーティーにお邪魔してすみません。それとかがみ、つかさ誕生日おめでそう…って、 すみません呼び捨てに!」 あわててただおとみきのほうを見るこなた。だがみきはもちろんただおも笑顔である。 「いいよいいよ、もう堅苦しい挨拶は抜きだ、私も神事のとき以外は肩のこる事は苦手でね」 ほっとしたこなたは持参した大きな箱を差し出した。 「つかささんにはとても及びませんが」 「ううん、こなちゃん私が頼んだんだから、ありがとう」 うれしそうにつかさはその箱を受け取ると座敷机の上の大きなお皿にそれを置く。 「主役がなければ始まらないわねぇ、きしし」 「これまつり」 みきが咎める。 手作りにしては2段重ねの立派なケーキ、飾りつけはシンプルだがイチゴをふんだんに使ってある。 そしてつかさとかがみの髪の色を模してブルーベリーですみれ色にしたホワイトチョコのプレート。 もちろん姉妹への誕生日メッセージが書かれている。 この場に合わせて、さすがに『つかさほか一名』などと空気を読まない内容ではない。 ケーキの受け渡しがすんだ所で、みきがちょっとすまなさそうな声を出す、 「こなたちゃんも座ってね、ただその…」 みきが手のひらでさしたのはさっきまでつかさの座っていた隣…?いや… 「こなちゃんはここっ!!」 つかさは一枚だけの自分の座布団にこなたを座らせると後ろから抱きかかえてしまった。 「ふぇ?つかさ?」 「はぅう、ごめんねこなちゃん、私はうれしい、はわわ、いやだと言ったんだけれど…」 小声のやり取り、つかさの表情から断りきれず押し切られた様子をこなたは読み取った。 もちろんそれでもうれしそうな無邪気な表情も。 まずは少なくとも事前に知りながら止めなかった薄情な親友かがみ…は目線をわざとらしく逸らしている。 この手のネタを思いつきそうなのはと考えるまでもなかったようである。 まつりがニヤニヤしながらサムズアップをしている。 みきやいのりはともかく、つかさの父であるただおはとこなたが恐る恐る見つめると 「ん、みんながつかさを、『おねえちゃん』にさせてあげようとか言い出してね。 こなたちゃんが迷惑だろうって言ったんだがね。 最近はこういうのもパーティーの軽い余興なんだって娘たちに言われてね。 さすがに私には、そういった女の子の遊びの感覚はわからんけれども、あはは」 「(ああ、さすがつかさのお父さんだヨ、天然はこの人の遺伝なんだね)」 そう思ってこなたが脱力している間に、いのりが手際よくろうそくに火をともす。 右半分と左半分ずつ吹き消すのは双子姉妹の共同作業である。 こなたの肩越しに体を傾けるつかさ、当然耳元にかかるろうそくを吹き消すつかさの息。 背中から伝わってくる、つかさのやわらかい躰の重みと.温み。 こなたにとってある意味長くて短い、つらくてうれしいパーティーの始まりである。 ■作者別保管庫(5スレ目)に戻る コメントフォーム 名前 コメント
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ジョジョ・シワのワールドパーティー 項目数:15 総ポイント:1000 難易度:★☆☆☆☆(音ゲーが苦手な場合は★+1) 配信日:2022年10月21日 製品情報:ストアページ 日本語未対応だがプレイに支障はない。 「Perfect!」「Makeup」以外はゲームを進めていくうちに解除される。 操作性に若干クセがあるが難易度は低い。5時間程度でコンプ可能。 Tutorial Complete the tutorial. 30 Dreamland Concert Outfit Obtain the Dreamland Concert Outfit. 60 Circusland Concert Outfit Obtain the Circusland Concert Outfit. 60 Sportyland Concert Outfit Obtain the Sportyland Concert Outfit. 60 BowBowland Concert Outfit Obtain the BowBowland Concert Outfit. 60 Sweetland Concert Outfit Obtain the Sweetland Concert Outfit. 60 Sunnyland Concert Outfit Obtain the Sunnyland Concert Outfit. 60 Moonland Concert Outfit Obtain the Moonland Concert Outfit. 60 Danceland Concert Outfit Obtain the Danceland Concert Outfit. 60 Superheroland Concert Outfit Obtain the Superheroland Concert Outfit. 60 Worldwide Party Outfit Obtain the Worldwide Party Outfit. 60 Makeup Apply makeup. 50 Perfect! Complete a level flawlessly! 100 Dance Perform a special dance in the concert. 100 Worldwide Party Complete the game. 120 操作について 基本操作はジャンプ・アタック・スライディングの3つだが、アタックのタイミングが若干ずれているのか 曲に合わせてボタンを押すと早すぎて空振りしてしまう事がある。 遅れて出す分には猶予があるので、気持ち遅めにボタンを押すか音量をミュートにしてプレイすると安定しやすい。
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パーティー作成のルール 1.作成方法:画面下の「コミュ」メニューからパーティーを選択し、パーティー画面に入ります。 パーティーを設立すると、他プレイヤーを自分の隊列に招待することができます。 招待の情報はパーティー画面内のパーティー状態の欄に届き、招待を受けたプレイヤーは 自分のパーティー画面内で届いた招待の情報を確認することができ、同意もしくは拒否の操作を行えます。 2.招待にはレベルによる制限はありません。 3.同陣営のプレイヤー同士でのみパーティーを組むことができます。 死亡状態、復活状態、オフライン状態のプレイヤーは招待できません。 パーティーの場合リーダーが団体競技場での挑戦が行えます。 4.パーティーのメンバー数の上限は3人(リーダーを含めて)です。 隊列のメンバーが満員の時は、リーダーは新しくメンバーを招待することはできません。 パーティー操作のルール 【移動方法】 移動は個人での移動となります。手の空いているメンバーはいつでも移動することができます。 【操作の制限】 パーティーを組んでいる状態では攻撃、連続攻撃、探索は行えません。 【隊列順序のルール】 リーダーは隊列中のメンバーの順序を調整することができ、メンバーを任意の順序に設定することができます。 【リーダー交代】 リーダーは残り2人のメンバーのどちらかにリーダーを譲ることができます。 移行はメンバーの「リーダー交代」ボタンをクリックすることで行えます。 【隊列追放】 リーダーは隊列中の任意のメンバーを隊列から追放することができます。 追放はメンバーの「隊列追放」ボタンをクリックすることで行えます。 【隊列脱退】 隊列中のメンバーは「隊列脱退」ボタンをクリックすることで、自由に隊列から脱退することができます。 パーティー戦闘のルール 【モンスターのレベル】 パーティー戦闘でのモンスターのレベルは、隊列中で最もレベルの高いメンバーのレベルによって決まります。 【経験の分配方式】 パーティーを組んでいるメンバー全員がモンスターの経験値105%を獲得できます。 ペットは、主人の倍の経験値を獲得します。 例:モンスターの経験値300の場合 パーティーメンバーA、B、Cは、経験値315を獲得します。 【体力値の消耗】 モンスターを1匹倒すごとに全てのメンバーの体力値を1点消耗します。 あるメンバーの体力値が0になった場合、そのメンバーは経験値とアイテムの分配を受けられなくなりますが、 残りのメンバーの取得できる経験値とアイテム取得率が変化することはありません。 【ドロップアイテムと分配方式】 パーティー戦闘でのモンスタードロップは個人戦闘でのモンスタードロップと同じです。 なお、入手したアイテムは原則ランダムで分配されます。 【戦闘の開始方法】 パーティーでは、リーダーのみ戦闘を開始することができます。 全メンバーが同一マップ上にいないと戦闘を開始することはできません。 また、パーティー内のメンバーが別の目標に対して攻撃を行っている場合、戦闘を開始することはできません。 【複数人 vs 1体 の戦闘】 パーティーでの野外モンスターとの戦闘は、プレイヤー複数人 vs モンスター 1体の戦闘になります。 戦闘開始後、モンスターが最初に攻撃目標とするのは隊列の1番目にいるプレイヤーとなります。 1番目のプレイヤーが死亡すると、モンスターの攻撃目標は2番目のプレイヤーへ変更され、以降3番目のプレイヤーへと順番に進みます。
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FS/S36-P01 カード名:“クリスマスパーティー”セイバー&凛 カテゴリ:キャラ 色:赤 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:500 ソウル:1 特徴:《マスター》?・《サーヴァント》? 【永】 他のあなたの前列の中央の枠のキャラに、パワーを+1000。 【自】 このカードが手札から舞台に置かれた時、あなたは自分の山札を上から1枚見て、山札の上か控え室に置く。 レアリティ:PR illust. ヴァイスシュヴァルツ Fate/stay night [Unlimited Blade Works]Vol.Ⅱ ブースターパック発売記念大会 参加賞
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Gイベント『ハロウィンパーティー』開催 10月28日から11月3日までの『ハロウィンイベント』に合わせてギルドイベント『ハロウィンパーティー』を開催します。 イベント内容 期間中ドロップする『かぼちゃの種』を誰が沢山多く集められるかを競います。また少ししかIN出来ない人も参加できるように、『大天使の巻物』の確率が最も高いかを競う競技も行います。 参加方法 イベント終了後、ドロップした『かぼちゃの種』(又は栽培したかぼちゃ)すべてを一枚のSSに撮ってください。その後、出た『大天使の巻物』すべてを一枚のSSで撮影してください。その二枚のSSを『ハロウィンパーティー専用ページ』にアップロードしてください。※参加受付は締め切りました。 賞品 名誉だけです優勝者には①このWIKIのトップページに一ヶ月間好きなSSを貼る権利②一ヶ月間、ギルド紋章を変える権利③もっさんとPK出来る権利等の豪華な賞品から一つを選ぶ事が出来ますww賞品のアイデアや、賞品の提供に協力してくれる人がいたらコメよろしく~ 豪華商品:ギル長になれる権利w -- ベツィー (2009-10-28 06 45 52) はネタで、クエストなどでギルメンを一日中お手伝いさせれる権利とか? -- ベツィー (2009-10-28 06 53 28) N出してない自分涙目w -- ちる (2009-10-28 18 56 04) ちょw私なんかINしてないのにwメイン加入させるしかないかね… -- 睦月 (2009-10-29 11 48 36) もっさんとPKしたす。彼はセレブだから良いものを景品にくれるはず…! -- 睦月 (2009-10-29 11 50 59) ヤバイさっきかぼちゃ50個食べたw -- 小鳥遊絵理 (2009-10-31 23 38 08) 名前 コメント
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まず、絶対負けない一番強い職業というものはないです。 どの職業もそれぞれ特徴があり、その職のスキルを極めることによって、自分より強い相手にさえ勝つことができるようになっています。 ※スキルは、今の職業と前の職業の2つまでです。詳しくはダーマ神殿 職業のタイプ 大きく分類して、前衛、後衛、支援の3タイプがあります。 基礎ステータスが高く、持久力がある前衛タイプ 戦士など基礎ステータスが高いのが前衛タイプです。 HPと守備力が高いので、最後まで生き残る確率がとても高く、 常にパーティーの先頭に立ち、壁役と攻撃役ができるとても重要な存在です。 スキル習得よりも、最後まで戦い続ける体力が最大の長所となります。 パーティーに1人いるだけでとても心強いことでしょう。 弱点として、MPの低さやスキル習得の遅さなどがあげられます。 (攻撃メインの力押し、とにかく最後まで生き残る、孤高プレイヤー、リーダーな人向き) スキルを極めれば最強?後衛タイプ 前衛タイプとはまったくの逆で、魔法使いなどの基礎ステータスが低く、魔法攻撃メインが後衛タイプです。 多くの魔法は、相手の守備力に関係なくダメージをあたえたり、敵全員に攻撃できたりするので、 攻撃の面では、前衛タイプよりも目立って活躍することができます。 ただし、とても打たれ弱い(HPと守備力が低い)ので、誰よりも早くやられてしまう確率が高く、 MPがなくなったり、魔法を封じられると最弱のキャラとなります。 他の職業と組み合わせたり、他プレイヤーからサポートされてこそ、本領を発揮します。 (全体攻撃で一掃したい、猪突猛進、お調子者、目立ちたい、裏リーダーな人向き) パーティーに最低1人は欲しい。対プレイヤーでは最強?支援タイプ 回復で仲間をサポートしたり、状態異常で相手を弱らせたりするのが支援タイプです。 前衛・後衛と比較すると目立たない存在ですが、 状況判断ができ、タイミング良くスキルを使いこなすことができれば、 危機的な状況を一気に大逆転することが可能です。 また、対プレイヤー戦では、一番嫌な相手となることでしょう。 パーティーに1人いるかいないかで、戦略の質がかなり変わってきます。 パーティーの人数や敵の人数が多ければ多いほどその力を発揮することができるでしょう。 (逆転の発想、知的戦略者、サポート好き、いつも仲間と一緒な人向き) 結局のところ、スキルは2つの職を組み合わせることができるので、 前線で戦う魔法使いや、攻撃や回復の両立キャラなど、無限の可能性があります。 おそらく、今後どんどん新しい職業が追加されていくでしょう